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大阪地方裁判所 平成元年(モ)4819号 決定

(抄録)

「2一Yは、本件訴訟は、本件契約に基づいてYが受領した加盟金の返還を請求するものであるから、本件契約の内容の一部を構成する本件合意管轄条項により、Yの所在地を管轄する東京地方裁判所の専属管轄に属する旨主張する。

そこで、本件合意管轄条項の内容についてみるに、同条項の文言自体に、管轄に関する合意(民事訴訟法二五条一項)につき、同条二項が当事者の意思を明確にして不測の不利益が生ずるのを防ぐため、『一定ノ法律関係ニ基ク訴ニ関シ且書面ヲ以テ』なされることを要求していることをも合わせ考えれば、仮にY及びXらの間において本件合意管轄条項により管轄の合意が成立したとしても、右合意の効力は、本件契約に関する債務の履行、不履行、あるいは解除、取消等に基づく訴訟に限定され、本件契約締結自体を違法行為とする不法行為に基づく訴訟には及ばないものと解するのが相当である。そして、本件訴訟は、前記のとおり本件契約に名を借りたYの不法行為に基づく損害賠償請求権を訴訟物とするもので、本件契約の成立を前提とする債務不履行、契約の解除又は契約の取消に基づく前記加盟金等の返還を求める訴訟ではない。よって、Yの右主張は採用できない。

二 また、管轄に関する合意のうち、専属的管轄の合意は、法定管轄を全て排除する内容を持ち、当事者の一方に極めて重大な影響を及ぼすものであるから、前記民事訴訟法二五条二項の趣旨をも合わせ考えれば、このような管轄合意は、競合する法定管轄裁判所のうち一つを特定して管轄裁判所とすることを合意し、その他の管轄を排除することが明白である等の特段の事情のない限り、専属的合意管轄ではなく、法定管轄に加えて管轄裁判所を認める旨の競合的合意管轄を定めたものと解するのが相当である。

そこで、本件につき検討するに、前記のとおり、本件合意管轄条項には『専属的管轄裁判所』の記載があるものの、右条項は、前記のとおり、Yが一方的に作成した定型的な契約約款の一部に過ぎず、他の条項に比べ、合意成立時における重要性及びXら等契約の相手方の関心は低いうえ、一件記録によれば、Yは前記東京都内の本店及び大阪支店のほか、岩手県及び福岡県にもそれぞれ支店を有しており、前記加盟店契約等が右の各支店で締結されることが当然予定されている。これらを総合勘案すれば、本件では右特段の事由は認められず、本件合意管轄条項は、競合的合意管轄を定めたものと解されるから、仮に、本件において本件合意管轄条項に基づき管轄に関する合意が成立し、その効果が不法行為に基づく損害賠償請求訴訟である本件訴訟にも及ぶとしても、本件合意管轄条項が東京地方裁判所以外の他の管轄裁判所を排除する趣旨であるとは解されないから、Yの前記主張は採用できない。

三 このように、本件訴訟について東京地方裁判所が専属的に管轄を有するとのYの主張は採用できないから、本件訴訟の管轄は、民事訴訟法一条以下の法定管轄の規定に従って決定されることになる。

四 本件訴訟は、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であるところ、一件記録に徴しても、Xの右主張がそれ自体失当であるとは直ちには認められない。そして、一件記録によれば、本件訴訟において、X1ら三名については、本件契約を締結したYの大阪支店の所在地である大阪市を不法行為地と主張しているから、本件訴訟のうちX1ら三名の請求については、民事訴訟法一五条一項に基づき、右不法行為地に所在する大阪地方裁判所が管轄を有する。

なお、X4については、前記認定のとおり不法行為地は、Yの主たる事務所の所在地である東京都であるが、前記認定事実に照らせば、Xらの主張するYの不法行為は、その態様等が共通していると認められるから、X1ら三名の請求と実質的関連性を有すると解するのが相当である。したがって、大阪地方裁判所は、民事訴訟法二一条に基づきX4の請求についても管轄を有する。」

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